ピアジェの認知発達段階とキーワードについて

ピアジェの認知発達段階とは?

 ピアジェの認知発達段階とは、子どもの認知の発達について分類したものです。子どもの認知の発達段階は4つあるとされました。

以下の4段階があり、最終段階の形式的操作期になると、抽象的な概念であっても心的操作が可能とされています。

  1. 感覚運動器(0~2歳)
  2. 前操作期(2~7歳)
  3. 具体的操作期(7~11歳)
  4. 形式的操作期(11歳~)

こちらのみぃぶぅさんの動画は、それぞれの段階の年齢が覚えやすくておすすめです!

各発達段階について

1.感覚運動期(0~2歳)

 感覚運動器とは、子どもの認知発達段階の最初の段階です。感覚運動器は、子どもが感覚と運動の協応によって外界とつながりを持つ0~2歳の時期とされています。

 以下の行動を段階的に行っていき、「シェマ」を獲得します。

  1. 第一次循環反応:自分の体に焦点を当て、同じ行動を繰り返す。(親指を口で吸う等)
  2. 第二次循環反応:自分の体以外のものに焦点を当て、興味があるものに同じ行動を繰り返す。(ガラガラをたたいて音を鳴らす等)
  3. 第三次循環反応:自分の行動が自分以外のものに変化をもたらすことに気づく行動。(素材が違うものを叩いて、音の違いに気づく等)

この時期の終わりに「対象の永続性」が獲得されます。

シェマとは?

 シェマとは、経験によって形成される認知の枠組みのことです。仏語読みであり、英語読みではスキーマと呼びます。

 シェマは、外界と関わりそれを適切に処理するための思考・認知のスタイルとされます。ピアジェは、子どもの発達はシェマの発達を意味すると考えました。

同化と調整とは?

  同化とは、シェマを用いて外界と関わることを言います。精神科医の松崎先生の言葉を借りると「身につけること」です。例えば、乳児が何でも口に入れると言うシェマを用いて食べられるものか否かを判断しています。

 調節とは、今あるシェマでは対応できなくなった時に、そのシェマを修正して外界と関わろうとすることを言います。例えば、何でも口に入れて危険な目にあった乳児が、においをかぐというシェマに修正して食べられるか否かを判断するようになることが挙げられます。

対象の永続性とは?

 対象の永続性とは、対象が目の前になくても、そのものが存在することを理解していることです。例えば、目の前に母親がいなくても、母親は家のどこかにいることが分かることです。

 小さな子に、「いないいないばぁ」をするととても楽しんでくれます。これは対象の永続性を獲得しているため、顔が手に隠されていても、そこにあることを理解しているので、おもしろい顔が出てくるのを楽しみにできるそうです。

2.前操作期(2~7歳)

 前操作期とは、2つ目の発達段階であり、2~7歳位の年齢の時期です。
 対象の永続性を獲得し、目の前にないものでも思い浮かべることができるようになります。

 しかし、他者に自分と異なる心理状態が存在することはまだ理解できない時期です。これを自己中心性と言います。自己中心性は、「わがまま」とは意味が異なります。わがままは、他者の心理状態を理解した上で自分を優先してほしい要求ですが、それは他者の心理状態が理解できるからできることです。自己中心性は、他者の視点には立てないのです。

アニミズムとは?

 物の全てに生命が宿ると考える、子ども特有の思考を言います。ピアジェの言う自己中心性を具体的に示す思考です。客観的事実と主観的現実の区別がつかないことにより生じています。

 念じたことは実現するという実念論、物の全てを人が作ったという人工論も同様の思考です。

3.具体的操作期(7~11歳)

 この時期になると、具体的な物事について、実際に触れなくても頭の中で持ち上げたり、回転させたりといった心的操作が可能になります。自己中心性から抜け出す(脱中心化)時期です。

 見た目が変化しても、対象の本質が変化していないことを「保存」と言いますが、その保存の概念を獲得し、論理的な思考が可能になる時期です。

4.形式的操作期(11歳~)

 形式的操作期とは、ピアジェが論じた子どもの認知発達段階の最終段階です。     11歳以降の時期の子どもの認知の段階とされ、大人と同様に抽象的な物事に対しても心的操作が可能となります。

前の認知発達段階では、具体的な物事の心的操作に限られていましたが、目の前にないものに対しても心的操作が可能になります。順序や組み合わせの概念が完成し、確率的推理も可能になります。

こちらは、精神科医の松崎先生の動画です。解説が分かりやすく、おすすめです。



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