ブーメラン効果、スリーパー効果、フリーライダー効果とサッカー効果… 社会心理学について

社会心理学とは?

人は社会からどのような影響を受けて行動するのか、また他者や集団をどのように認知するのかについて研究する心理学です。

社会学や文化人類学の知見を含む学祭的な領域であり、20世紀に入り研究が盛んになりました。心理学が個人や集団の心理を扱うのに対し、社会心理学は社会との関係の中での個人や集団の心理を扱います。

ブーメラン効果

説得を受けた人が説得者の意図とは反対方向へ態度を変える現象。たとえば親が子どもに「勉強しなさい」と勉強をするよう説得すると、子どもはそれに反発し、逆に勉強しなくなること等。これは説得者と被説得者の関係や説得内容等により生じるとされる。

心理的リアクタンス理論

態度変容を迫る説得に対して被説得者の抵抗が強められる理論。

自由を制限されると人はより自由になろうとするため、この現象が生じるとした。心理的リアクタンスの大きさは、制限される自由の重要度・制限される自由の度合い・自由に対する脅威の程度の3つの大きさに比例して増加するとされている。

スリーパー効果

信憑性の低い人物からの説得でも、時間の経過とともに説得効果が増す現象。

逆に信憑性の高い人物からの説得は、最初は説得効果が高いが時間の経過とともにその効果は減少してしまう。これは、時間が経つにつれて両者の記憶が分離し、説得内容そのものの効果が現れるために生じるとされる。

ピグマリオン効果(ローゼンタール効果、教師期待効果)

教師が期待することで、生徒(学習者)の成績が向上すること。

反対に、期待しないことで成績が下がる現象は「ゴーレム効果」と呼ばれる。

社会的手抜き

集団で作業する場合に、一人で作業を行う場合より作業量が下がる現象。

集団では個人の努力が評価されにくいためこの現象が生じるとした。他の原因として集団での作業は怠けても非難されることが少ないこと、個人に要請される努力量を低く見積もること、最小の努力で利得を得ようとすること等が挙げられる。

フリーライダー効果

フリーライダー効果とは、集団において他者より自分の能力が低いと認知した場合、人は動機付けを低下させ集団に貢献しようとせず、他者に頼る現象を言う。社会的手抜きの一種とされる。

サッカー効果

フリーライダー効果とは逆に、自分より他者の能力が低いと感じた場合に、他者から頼られるのを避けるために動機付けが低下し手を抜く現象。これも社会的手抜きの一種とされる。

傍観者効果

緊急時に、周囲に第三者がいる場合は単独で目撃した場合より、援助行動が抑制されやすい現象。

1964年にNYで起こった殺人事件を元にその原因を検証し、冷静な第三者を見て事態を過小評価する社会的影響、第三者の存在で介入失敗を恥と恐れる観衆抑制、第三者の存在による責任の分散の3つを挙げられた。

社会的促進

作業する時、他者の存在により作業速度が上がり作業量も増える現象。

観察者の存在が作業を促進する観察者効果、同じ行動を独立かつ同時に行う他者の存在が作業を促進する共行動効果がある。

社会的知覚

人の知覚が、社会的価値や人の態度等、社会的諸条件に影響を受けること。

ある実験では、子供に硬貨と円形のボール紙を見せ、それらと同じ大きさを表すように指示したところ、ボール紙の大きさは正確に描いた。しかし硬貨は実際よりも大きく描き、その傾向は貧困家庭の子供の方が裕福な家庭の子供よりも高かった。

認知的不協和理論

関連する二つのもの・ことに矛盾や不一致があると不快感や緊張感が生じる。そのため、それを解消・低減するため認知を操作しようとする理論。

アルコールでの問題行動を起こしがちな人は「飲むと解放感を味わえる」一方、「飲むと問題を起こす」と言う認知が不協和をきたしているとする。その場合、一方を重視し「酒が何よりの活力」と認知したり、一方を軽視して「致命的な問題を起こしたわけではない」等認知の操作を行う。

認知的均衡理論

三者間系では、肯定的認知を+、否定的な認知を-とすると、三者間の積が+になるとき、「均衡状態」とする。

そのように、三者間の均衡が保たれるように認知を行おうとする理論を認知的均衡理論と言う。

段階的要請法(フットインザドア法)

最初に小さな要請を行い、承諾を得た後に、本当の目的の要請をして承諾を得る説得技法。

最初に小さな要請を承諾することで、了承した方は自分は協力的な人物だと認知し、次もその認知に沿った行動をするために承諾率が高まるとされている。

譲歩的誘導法(ドアインザフェイス法)

拒否されるような大きな要請を最初に行った後に、譲歩したかのように見せ、本当の目的の要請をして承諾を得る説得技法。

要請をした方が譲歩することで、要請を受けた方も譲歩せざるを得なくなり、承諾率が高まるとされている。

承諾先取り法(ローボール法)

最初に有利な条件を含んだ要請を行い承諾を得た後に、その条件が実現できなくなったことを伝え、続けて本当の目的の要請をすることで承諾を得る説得技法。

一度承諾した要請に対する責任感が働くために承諾率が高まるのだとされる。

集団極性化

集団で討論を行うことで、個々人の意見や判断が極端な方向へ向かう現象。集団凝集性の高い集団で生じやすい。

集団で討論することにより責任の拡散が起こり、危険度の高い方向へ向かうことを「リスキー・シフト」、逆に安全度の高い方へ向かうことを「コーシャス・シフト」と呼ばれる。

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