過食症の新しい治療?Somatic Experiencing (SE) について

こんにちは。

過食症は、長年悩んでいる方も多いのではと思います。

最近、過食症に悩む方に対して、SEが効果的だと報告されていることを知りました。
今日は、Somatic Experiencing(ソマティック・エクスペリエンシング、SE)という心理療法について書きたいと思います。

こちらが、過食症に、SEという心理療法をすることが回復につながるのではと書かれている論文です。

https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/104461/S13482084-65-P349-HANA.pdf

多重迷走神経理論による神経性過食症理解の可能性について

花澤寿 – 千葉大学教育学部研究紀要, 2017

SEは、心と体を統合してトラウマを癒すアプローチで、身体の感覚を通して過去のストレスを解放する心理療法です。

SEとは?

SEは、Peter A. Levine博士が開発したトラウマ治療法で、身体の感覚に意識を向けることで、未処理のトラウマを解放することを目指すそうです。

トラウマは私たちの体に「戦う」「逃げる」「凍りつく」という自律神経の反応として刻まれ、これが解消されないまま残ると、心身にさまざまな影響を及ぼします。

「身体はトラウマを記録する」という本でも読んだことがあったように思いますが、トラウマは記憶だけでなく、身体にも残されるのです。


SEでは、身体の感覚や感情を利用して、自律神経のバランスを保ち、心身のバランスを取り戻していきます。

SEが過食症にどのように役立つのか?

過食症は、ストレスやトラウマに起因することが少なくないと言われています。先ほど紹介した論文では、過食症を、「食べることによる緊張緩和の試み」、ポリヴェーガル理論からみると、「過食症者は、社会的関わりシステムが機能している食の世界から離れるために、他者との絆を渇望し、得られない他者との絆を食べ物を貪ることで埋めようとし、さらに孤独に陥っていく」と述べています。(詳しくはぜひ論文をお読みください)

誰かと一緒に食事を摂ることで得られるはずの安心感が得られず、食で埋めようとしてする。

緊張状態にあるため食べることで緊張を解こうとしていると考えられます。
また、SEが過食症に効果的だとされる理由は、次のような点にあります。

トラウマの解放

過食症は心の中に抱えたストレスや未解決の感情が原因となることも少なくないとされます。

SEでは、身体に蓄積されたトラウマや感情の残留物に注意を向け、それを解放することで、過食の引き金となっていたストレスを軽減させることができます。

・ 過食のきっかけを理解する

SEを通じて、自分の体がどのようにストレスや感情に反応するかを観察し、どんな時に過食に走ってしまうのかを理解することができます。体に意識を向けることで、過食衝動を抑える手助けにもなります。

神経系を安定化させる

SEは自律神経系を安定させ、過食行動に繋がる過剰なストレス反応を和らげる効果があります。

自律神経が安定することで、不安やストレスが軽減され、摂食行動をコントロールしやすくなるのです。

身体感覚と食欲の再調整

摂食障害を抱えている方は、自分の体感覚や食欲の認識が分からなくなったりしていることがあります。

確かに、自分の感情が感じにくい「アレキシサイミア傾向」にあると、心身症になりやすいとも言われていますので、過食症と感情は関係がありそうです。

SEでは、自分の体の感覚に気づき、食欲や満腹感を正しく感じられるようにサポートします。

SEはどこで受けられるの?

この心理療法を実施するセラピストさんは、養成トレーニングを修了し、決まった認定をうけなければいけないそうです。

そのため、すべてのカウンセリングルームで受けられる訳ではなさそうです。

こちらのサイトで、SEを実施できる方が紹介されていましたので、気になる方は、ぜひご覧になってみてください。
https://www.sejapan.website/sep%E3%82%92%E3%81%95%E3%81%8C%E3%81%99/


SEは、自分の体と心に丁寧に向き合い、トラウマをゆっくりと解放していくアプローチです。
過食症の治療は、時間がかかることも多く、治るのか不安になることも少なくないと思います。

SEが、過食症の治療の光になることを願っています。



SEやポリヴェーガル理論についての本





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