看護師のキャリアの多様性:自分に合ったキャリアパスを見つけるために
こんにちは。
今日は、看護師のキャリアについて書いてみたいと思います。
自分に合ったキャリアはどんなものか、看護師をしていたら一度は悩んだり考えたことがあると思います。
看護師は、病院や診療所での仕事だけでなく、教育・カウンセリングなど多様な分野で活躍できる仕事です。
それぞれのキャリアパスにはそれぞれの魅力があり、自分の性格や興味、生活の状況に合わせて選べたらと思います。ここでは、代表的なキャリアパスをご紹介します。
1. 病院の看護師
特徴:
- 病院は一般的に規模が大きく、多くの診療科が揃っているため、さまざまな疾患に対応できる設備とスタッフが揃っています。病院での看護師は、急性期から慢性期まで幅広い疾患や症例に携わることが多いです。
- 病棟での勤務や手術室、救急外来、ICU(集中治療室)など、専門的な役割を持つ部署での勤務もあり、専門スキルが磨かれます。
必要な資格・望ましい経験:
- 特定の診療科での専門的な業務に従事する場合、専門看護師や認定看護師の資格が有利です。
魅力:
- 幅広い医療技術が学べ、キャリアの初期から成長しやすい環境です。
- 急性期の患者ケアなど、やりがいを感じる場面も多くあります。
- 夜勤があると給料が高いことが多い。都心部の方がこの傾向があります。(大学病院や総合病院の方が高く、公立病院は長く働くと高くなるため初期はそこまで高くない)
- 寮がある職場も多く、生活費をおさえられます。
- スタッフ数が多いので、産休・育休も比較的とりやすい印象があります。
- 時短勤務制度が整っている場合が多い。子どもが小さい時は夜勤が免除されたり、勤務日数を減らしても正社員での雇用を継続できる場合もある。
注意点:
- シフト制で夜勤があるため、体力的な負担がかかることがあります。
- 多忙な環境でストレスがたまりやすい場合もあります。
2. クリニックの看護師
特徴:
- クリニックは、内科・小児科・整形外科・耳鼻科など、特定の診療科目に特化した小規模な医療施設です。病院に比べて、地域に根差した診療が中心となり、患者との距離が近いです。
- 業務内容は、医師のサポートや問診、採血・注射・検査の準備や対応などが中心で、外来の患者へのケアがメインとなります。長期の入院や夜勤業務は基本的にありません。
望ましい経験:
- 採血や点滴、患者対応の経験があるとスムーズに業務に対応できます。看護師の人数が少ないため、大きな病院と比べて教育体制は整っていないことが多いでしょう。教えてくれる人がいたり、複数人で対応できる場合は教えてもらえることもあると思います。
魅力:
- 夜勤がなく、日勤が中心のため生活リズムが安定しやすいです。外来患者を中心にケアを行うため、病院勤務に比べて体力的な負担が少なく、患者と長期的な信頼関係を築けることが多いです。
- その分野に特化した経験ができます。
注意点:
- 業務の幅が病院に比べて限られるため、急性期看護や高度な医療スキルを身につける機会は少ない場合があります。
- クリニックはお昼休みがあることが多く、2~3時間とっている場合もあります。その場合、1日の拘束時間が長くなることがあります。(勤務時間は8時間、休憩時間2時間など)
- スタッフの人数が少ないため、長期休みがとりにくい可能性があります。
- 時短勤務制度などが整っていない場合がある。
- 個人事業として開業しているクリニックも多いため、雇用保険の加入条件など確認する必要がある。
2.専門看護師・認定看護師
特徴:救急医療、小児看護、がん看護、ICU、精神科など、特定の分野で専門性を高めることができます。資格取得や研修によって認定を受け、専門看護師や認定看護師としてのキャリアを築けます。
魅力:特定分野のプロフェッショナルとして高度な知識・技術を身に付け、複雑な症例にも対応できる自信がつきます。また、医療チームの中でのリーダーシップや教育的な役割を持つことも可能です。
必要な資格:
- 専門看護師(Certified Nurse Specialist, CNS)や認定看護師(Certified Nurse)の資格
- 専門看護師になるには、大学院の看護学研究科を修了することが求められます(臨床経験5年以上も必要)。
- 認定看護師の場合は、臨床経験5年以上に加え、認定看護師教育課程の修了が必要です。
望ましい経験:
- 専門分野での臨床経験が求められます。ICU、小児科、救急など各分野での実務経験が重要で、経験を積んだ後に資格取得を目指すとよりスムーズです。
認定看護師について:https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cn/index.html
専門看護師について:https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cns/index.html
3. 在宅ケア・訪問看護
特徴:患者の自宅でケアを行う訪問看護は、在宅医療のニーズが高まる中で重要になっております。自宅で療養する患者に対して、リハビリ支援や健康管理を行います。
必要な資格:
- 看護師免許はもちろん、訪問看護では保健師免許や認定看護師(在宅ケア)なども有利です。
- 介護やリハビリの知識も役立つため、訪問看護師としてのスキルアップを目指す場合は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格も視野に入れると良いでしょう。
望ましい経験:
- 在宅での患者ケアに必要な幅広い臨床経験があると良いです。特に、高齢者や慢性疾患の患者に関わった経験があると役立ちます。
- 車移動の場合は普通自動車免許が必要です。
魅力:
- 夜勤がないことがほとんどです。
- 家庭での療養を支えることで、患者や家族と深い信頼関係を築けます。
- 患者一人ひとりに合わせたケアができるため、個別性の高いケアが実施できます。
- 週1日、数時間からの求人もあり、家庭の事情に合わせて働き方を選べるところもあります。
注意点:
- 個人のお宅におじゃまするので、潔癖症の人は難しく感じることがあるようです。
- 自転車で移動する場合、季節や天気によっては過酷な環境になります。
4. 産業看護師(企業内看護師)
特徴:産業看護師は、企業内で働く社員の健康管理を担当します。 職場環境の安全性や健康管理に関する業務、健康診断やメンタルヘルスケアなども行っています。
魅力:
- 病院とは異なる職場環境で、社員の健康管理や職場環境の改善に貢献できます。
- 医療とはまた違った視点から「健康」をサポートするため、予防医学や健康管理のスキルが身につきます。
- 福利厚生が企業に準じているので、恵まれている場合もあります。
- 日勤のみが多い。
- ビジネスマナーが身につきます。
必要な資格:
- 看護師免許があれば可能ですが、保健師免許があると採用に有利です。
- 産業カウンセラーや衛生管理者の資格も、企業内での活動をより広げるために有効です。
- 職場によっては英会話ができる語学力が必要なこともあります。
望ましい経験:
- 労働衛生やメンタルヘルスに関する知識があると良いです。また、職場環境の安全対策や労働者支援の経験があるとより高い評価を受けます。
- 病院での臨床経験が求められることが多いです。(救急時に対応する必要があるため)
5. 看護大学(大学院)の教員
特徴:看護学生を対象に看護の知識や技術を教える役割です。教育機関に通う、講義や実習の指導、カリキュラムの企画・運営を担当します。教育以外にも、自分の研究成果を世の中に伝える役割も担っています。
魅力:
- 看護の知識や経験を学生に伝え、次世代の看護師を育成することで、業界全体の成長に貢献できます。
- 自らも学び続け、看護の最新知識を習得する機会も多くあります。
- 自分の研究成果を社会に還元できる。
必要な資格:
- 看護師免許と、修士号以上の学位が基本的に求められます(博士号が必要な場合も多いです)。
- 専門看護師や認定看護師の資格があると教育内容に深みが増し、教員としての信頼性が向上します。
望ましい経験:
- 臨床現場での数年以上の実務経験が求められる場合が多いです。また、教育の経験や教職の知識があるとスムーズです。看護教育や指導法に関する研修を受けるのも効果的です。
6. カウンセラー(医療・メンタルヘルスカウンセラー)
特徴:医療現場や施設、あるいは独立してカウンセラーとして患者やその家族、医療従事者の心理的支援を行います。看護師としての経験を活かし、患者の心のケアにも対応できるカウンセラーとして活動できます
魅力:医療現場での知識をもとに、患者やその家族が不安な心理的問題の解決を支援できます。医療現場での経験を心理ケアに対話、患者との信頼関係を築ける役割また、カウンセラーとして働くことで、看護師の精神的なサポートもできるので、医療現場の健全化に貢献できます。
必要な資格:
- 看護師免許に加えて、カウンセリングの資格(例:公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラーなど)があると信頼性が高まります。
- メンタルヘルスケアに特化する場合、精神科看護師の経験や精神科の認定看護師資格も役立ちます。
望ましい経験:
- 医療現場での経験と共に、患者や家族の心理的サポートを行った経験が重要です。また、カウンセリングの知識やスキルを身につけるための研修や講座に参加することが望まれます。
7. 医療コンサルタント・医療関連企業でのキャリア
特徴:看護師としての臨床経験を踏まえ、医療関連の企業で製品開発や医療機器の導入支援、教育活動を行うことも可能です。
魅力:ビジネスの視点から医療に携わることで、マーケティングやマネジメントスキル医療現場で培われた視点を、広い視野で業界に還元する仕事に携わることで新たなやりがいを見つけられる。
必要な資格:
- 必須の資格は企業によって異なりますが、看護師免許に加えて、臨床研究やマーケティング、医療機器の知識があると役立ちます。
- 薬事や医療系のプロジェクトマネジメント資格(例:PMPなど)も業務に役立つ場合があります。
望ましい経験:
- 臨床経験のほか、医療製品や医療技術についての理解が求められるため、特定分野での実務経験や臨床試験に関する知識があると評価が高まります。ビジネススキル(例:交渉やプレゼン能力)を身につけておくとさらに有利です。
まとめ
看護師のキャリアには多くの選択肢があり、病院を離れてもさまざまな分野で看護師としてのスキルを活かすことができます。自分に合ったキャリアパスを見つけるためには、どんなような働き方や役割が自分に合っているということをよく考えることが大切です。
各分野の特色や利点を理解し、自分がどのような形で医療に貢献したいのかを見つけることで、看護師としての充実したキャリアが築けるでしょう。