帰無仮説と対立仮説、有意水準について
帰無仮説と対立仮説
帰無仮説と対立仮説とは、統計的仮説検定を行う際に立てる仮説のことです。
統計的仮説検定とは、対象集団全体を直接調べることが難しい場合に、対象集団(母集団)から一部を取り出して(標本)、標本で起こった状況が母集団でも起こり得るかを検定します。その際に、仮説を立てる必要があります。
ここでは、統計的仮説検定の方法と、その時に出てくる用語についてまとめたいと思います。
用語について
帰無仮説とは?
- 統計的仮説検定を行う際に立てる仮説のこと
- 「関連がない」「差がない」「誤差である」
- 棄却されることを目的に作られる仮説
- 帰無仮説=無に帰する仮説=無いことにする仮説=差がないとする仮説
- H 0とも書かれる。(H=hypothesis)
- 例:タバコと高血圧は関連がない
対立仮説とは?
- 「関連がある」「差がある」「誤差では起こらない」
- 本当に主張したい仮説
- H 1とも書かれる。
- 例:タバコと高血圧は関連がある
有意水準とは?
- 帰無仮説を棄却するための基準となる確率値のこと
- 5%か1%に設定されることが多い
- この水準を下回ることは帰無仮説として設定した事象が起こる確率が5%未満であることを意味する=帰無仮説で設定したことが起こるのは、偶然である
- その確率が有意水準を下回った場合は、帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択する
- 有意水準を上回った場合、帰無仮説は棄却できず、帰無仮説と対立仮説のどちらが正しいかを判断することはできない
有意確率・P値
- 帰無仮説の状況が起こる確率
- 有意水準と比較する
統計的仮説検定の手順
1、帰無仮説と対立仮説を決める
例:A社において、喫煙者と高血圧は関係があると仮説を立てたい場合
- 帰無仮説(棄却したい仮説):喫煙者と高血圧は関係がない
- 対立仮説(主張したい仮説):喫煙者と高血圧は関係がある
2、有意水準を決定する
5%か1%に設定されることが多い。
例:5%に設定する
3、有意確率(P値)を算出する
例:0.003とする。
4、有意水準と比較する
有意確率が有意水準(0.05)を下回っているため、「帰無仮説を棄却する」ことができます。有意水準を下回ると言うことは、帰無仮説の状況が起こる確率が5%未満であり、滅多に起こることではないと判断されます。
よって、対立仮説「喫煙者と高血圧は関係がある」を採択します。
もし、有意確率が有意水準を上回っていたら、帰無仮説は棄却できません。その際は、帰無仮説と対立仮説のどちらが正しいのかを判断することはできず、喫煙者と高血圧の関係は、あるともないとも言えないことになります。