公認心理師試験対策!DSM−5による自閉症スペクトラム障害

DSM−5とは

アメリカ精神医学会(APA)が2013年に刊行しました。(日本語版は2014年)

正式名称は「精神障害の診断と統計マニュアル」です。精神障害の分類のための共通言語と標準的な基準をまとめています。

自閉症スペクトラム障害について

DSM−5では、「1、神経発達症群/神経発達障害群」に分類されています。

この群には、他に「知的能力障害群」「コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群」「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」「限局性学習症/限局性学習障害」「運動症群/運動障害群」「他の神経発達症群/他の神経発達障害群」が分類されています。

診断について

1、複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること

2、行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)

3、発達早期から1,2の症状が存在していること

4、発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること

5、これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと

さらに、知的障害の有無、言語障害の有無を明らかにし、ADHD(注意欠如・多動症)との併存の有無を確認することが重要です。DSM-IVでは認められなかった自閉スペクトラム症とADHDの併存が、DSM-5では認められています。また、他の遺伝学的疾患(レット症候群、脆弱X症候群、ダウン症候群など)の症状の一部として自閉スペクトラム症が現れることがあります。

1と2の症状の程度は様々であり、いろいろな併存症も見られることから、小児神経科・児童精神科・小児科医師による医学的評価は非常に重要です。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html より(e−ヘルスネット)

DSM−Ⅳ−TRとの違い

  • 以下の3つが判断基準にありましたが、上記に変更になりました。
  • 社会性の障害
  • コミュニケーションの障害
  • 常同的・反復的な限定された行動・興味・活動
  • 分類が変わりました。「広汎性発達障害」の中に、以下の分類がされていましたが、レット障害以外を「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」とされました。
  • 自閉性障害
  • レット障害
  • 小児期崩壊性障害
  • アスペルガー障害
  • 特定不能の広汎性発達障害

レット障害とは?

レット症候群は、ほぼ女児のみに発生する、まれな遺伝性の神経発達障害です。脳の発達に必要な遺伝子の変異が原因です。対人関係の障害、言語能力の欠如、手の反復動作などがみられます。レット症候群の女児は、多くの場合、出生前も分娩時にも異常がなく、正期産で生まれます。社会的技能とコミュニケーションの面で問題があるなど、多くの症状が自閉スペクトラム症の症状と似ていますが、レット症候群は別の病気です。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/23-小児の健康上の問題/学習障害と発達障害/レット症候群 (MSDマニュアル家庭版)

<参考文献>

e−ヘルスネット.厚生労働省.ASDについて.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html

精神医学マイテキスト.西川隆編集.株式会社金芳堂発行.改訂第2版第1刷.2014年4月.

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