公認心理師試験対策!認知行動療法について
認知行動療法(CBT)とは
メンタル不調や落ち込みは、「思考の歪み」が原因と考える心理療法です。
うつ病の治療に効果が認められ、積極的に取り入れられています。
精神分析療法・行動療法・来談者中心療法のデメリット(時間とお金がかかる。ゴールが分かりにくい。等)を解消し、患者自身が簡単に理解でき、研究者が検証でき、時間的にも金銭的にも経済的なものを目標に発展しました。
感情面で困難を抱える、あらゆる人に用いられています。
特徴
- 行動療法と認知療法が融合した治療パッケージ
- 治療効果について科学的に検証され、治療効果のエビデンスも示されている。
- 2010年に保険点数化され、30分以上の治療を実施した場合1日につき420点。(条件あり)
- マイケンバウムの著書で初めて用いられた。
- 創設者を限定することはできず、臨床実践・研究の蓄積により体系化された。
- 厚生労働省によると、対面式で1回30分以上の面接を16〜20回行うことが推奨されている。(「うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル」より)
- 協同的実証主義と呼ばれる関係性が重要。カウンセラーとクライエントが認知の歪みを一緒に検証する関係性。
認知行動療法の基礎となった理論
1、新行動S−R仲介理論(1950年代以降)
- 行動療法の基本的理論
- 古典的条件付け
- パヴロフによる条件反射理論
- ワトソンによる学習理論
- ウォルピ
- アイゼンク
- 系統脱感作法、エクスポージャー法、フラッディング、暴露反応妨害法、条件性制止療法、嫌悪療法など
2、応用行動分析(1970年代以降)
- スキナーのオペラント条件づけを背景にしている
- 問題行動の修正など、臨床現場に適用すること
- ある行動がどのような環境で喚起し、それがどのような刺激によって持続されているのかを分析する
- シェイピング法、トークンエコノミー法など
3、社会的学習理論(1960年代以降)
- バンデューラにより提唱された
- 直接的な変化を得られなくても、他者が強化される場面を観察することで、他者の行動を自身も習得することができる
- 先行要因、結果要因、認知要因の3要因が生じることで、行動が発言・維持される。
- モデリング、セルフコントロール法、セルフモニタリング法
4、ベックの認知療法(1960年代前半〜)
抑うつの症状は感情障害で、認知や行動、症状は感情障害から二次的に派生したと考えられていましたが、ベックはこの考え方を一変し、抑うつは「認知のゆがみから生じる」と考えました。
問題を作り上げている自動思考や認知の歪みを分析し、より適応的な認知をすること、またそれを日常生活で活かすこととしました。
- 自動思考
- スキーマ
- 認知の歪み(白黒二極思考、べき思考など)
- 認知再構成法(認知療法の代表的技法)
5、エリスの論理療法<REBT>(1950年代後半〜)
エリスは、「思考を変えると感情が変わり、感情が変わると行動が変わり、行動と感情が変わると思考も変わる」と考え、論理療法を提唱しました。
悩みを引き起こす出来事から不快な感情が生まれるのではなく、その出来事を個人がどう受け止めたかによって様々な感情が引き起こされると考えました。
これを「ABCDE理論」と呼びます。
エリスのABCDE理論
- A:Activating event 出来事
- B:Belief 非合理的信念、思い込み、スキーマ
- C:Consequence 結果としての否定的感情、症状
- D:Dispute 反証
- E:Effective new philosophy 合理的信念
非合理的信念と合理的信念の違い ※iBをrBに変えていく。
非合理的信念(iB):~でなければならない。~べきである。という絶対的な考え方。それ以外の選択肢がなく、硬直化した考え方。例「遅刻をする人は能力がない。」「遅刻をする社員なんて辞めるべきだ。」
合理的信念(rB):できるなら~であることに越したことはない」といった考え方。現実的で選択の余地がある。例「遅刻をすることもあるだろうし、遅刻をするからと言って能力がないとは限らない。」
6、マイケンバウムによる考え(1977年)
- ストレス免疫訓練
- 「ストレスに対する免疫を高める」ことを目標に介入する
- ストレッサーに晒されている際に、ストレス反応を体感し、リラクゼーション法などでストレスに対処できることを学ぶ。
- ストレスは対処できないものではなく、セルフコントロールできることを学び、日常に適用することを目指す。
以上、認知行動療法の特徴と基になった理論についてでした。
認知行動療法にはどんなものがあるかは、またの機会に書けたらと思います。今日もありがとうございました。