公認心理師試験対策!ストレスによる疾患(心身症)
ストレスによる疾患(心身症)とは?
定義:心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態を言う。ただし、神経症やうつ病など他の精神障害に伴う身体症状は除外する。(日本心身医学会教育研修委員会,1991年)
心理社会的因子、いわゆるストレスが原因となる、心の症状ではなく、身体機能に症状を表す病態です。ストレスと症状の関連を「心身相関」と呼び、脳・自律神経系・内分泌系・免疫系などが関与して心身相関を支えています。
心身症になりやすいとされる特性
1、アレキシサイミア
心身症の心理的側面の特徴です。シフニオスによって1970年代に提唱されました。
ギリシャ語に由来する造語で、「失感情症」「失感情言語化症」と訳されます。
自分の感情に気づきにくい、気持ちを言葉にするのが苦手な傾向を言います。
うまく悩みを人に伝えることができなかったり、感情を言葉で伝えるより行動に訴える傾向が強いです。
共感性の乏しさも特徴で、心身症の患者さんだけでなく、健常者でもその傾向があることがあり、精神的健康や対人関係への影響があると言われています。
TAS−20(日本版トロント・アレキシサイミア尺度)によって測定されます。
2、過剰適応
心身症の社会的面の特徴です。以下のような特徴があります。
- 生真面目
- 仕事にのめりこむ
- 頼まれるとノーと言えない
- 自己犠牲になりがち
- 状況に自分を全面的に合わせようとする
- 自分の感情を抑える
3、タイプA行動パターン
心筋梗塞などの虚血性心疾患になりやすい危険因子でも有名です。
競争的でいつも急いでおり、認められたい欲求が強く、仕事に熱中しやすい人です。時間に追われ、焦燥感が強く、他者に対しても攻撃的です。
この行動パターンの方は、仕事中毒のようになり心身症になるリスクが高いそうです。
代表的な心身症
- 過敏性腸症候群:病変は認められないが、下痢・便秘などの症状が出現する大腸の疾患。
- 機能性ディスペプシア:病変は認められないが、食後のもたれ感・早期満腹感・心窩部痛・心窩部灼熱感が出現する症状。以上の症状の1つ以上の症状があり、6ヶ月以上前に初発し、3ヶ月以上続いているものとされる。
- 頭痛
- 摂食障害:食事や体重に対する強いこだわり、太ることに対する恐怖感が特徴。
- 本態性高血圧:原因がはっきりしない高血圧
- アトピー性皮膚炎
- 気管支喘息
- 関節リウマチ
- 過敏性膀胱(神経性頻尿)
- メニエール症候群
- アレルギー性鼻炎
- 視野狭窄
機能性身体症候群(FSS)について
原因不明の症状(疲労感・頭痛・関節痛・筋肉痛・めまい・動悸・腹痛・下痢など)があり、医学的に説明できないものを言う。
機能性身体症候群は、それぞれ似ている症状も多く、合併しているものも多い。
心身の反応(機能性身体症状)は、精神疾患ではなく、心因性疾患を指す用語でもない。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000050414.pdf
代表的な機能性身体症候群
- 機能性ディスペプシア
- 過敏性腸症候群
- 月経前症候群
- 線維筋痛症
- 過換気症候群
- 慢性疲労症候群
- 緊張型頭痛
- 顎関節症
- 咽喉頭異常感症
- 化学物質過敏症 など
なかには心身症に含まれているものもある。
<参考文献>
- 心身の反応(機能性身体症候群)について.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000050414.pdf
- メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキストⅡ種ラインケアコース.大阪商工会議所編集.株式会社中央経済社発行.2017年2月.第3版第164刷発行.
- 公認心理師必携テキスト.福島哲夫編集.株式会社学研メディカル秀潤社発行.2018年5月.初版第4刷.