公認心理師試験対策!ロジャースの来談者中心療法

来談者中心療法の誕生

ロジャース(Rogers  CR)が学んだ時代は精神分析が主流であり、ロジャースも最初は精神分析理論を学んでいました。

しかし、ロジャースは心理面接の実践で出会った3人のクライエントから精神分析論に疑問を持ち、新しい理論の萌芽を見出しました。そして、「非指示的カウンセリング」(1942年)、「来談者中心療法」(1951)を書きました。

ロジャースは自身の失敗したカウンセリングに「幻滅を味わった」と述べていますが、その事例から学び、新しい理論を築いたのです。

「何がその人を傷つけているのか、どの方向へ行くべきか、何が重要な問題なのか、どんな経験が深く秘められているのか、などを知っているのはクライエント自身であるということです。私自身が自分の賢明さとか知識を示そうとする欲求をもっていないならば、クライエントが働いていく過程をよりいっそう信頼するようになるという考えが私に芽生えてきたのです。」

来談者中心療法では、それまでの「指示的」な方法から、「成長する力」や「自己表現する力」を向上させる、「支持的な支援」を行うことに重点をおいています。

建設的なパーソナリティの変化が起こるための6条件(ロジャースの6条件)

  • 2人の人間が、心理的な接触を持っていること。
  • クライエントは不一致の状態にあり、傷つきやすい、不安の状態にある。
  • セラピストは、クライエントとの関係で一致しており、純粋な、統合された人間であること
  • セラピストはクライエントに対して、無条件の肯定的な配慮を経験していること
  • セラピストは、クライエントの内的準拠枠について共感的な理解を経験しており、この経験をクライエントに伝達するように努めていること。
  • セラピストの共感的理解と無条件の肯定的配慮を、クライエントに伝達するということが最低限に達成されていること

ロジャースは、人間は理想自己(自分が思う理想の自己)と現実自己(現実の自己)がかけ離れていると、心理的不適応が生じるため、自分を受け入れられ理解されると、本来の自己と現実を見つめられるようになると考えています。そうすることで、理想自己と現実自己の乖離が減少し、心理的不適応が解消されるそうです。

そのため、ロジャースは、建設的なパーソナリティの変化が起こるための条件を設定しました。

カウンセラーの3条件

これは、上記の6条件をカウンセラー側に絞ったものです。

クライエントは、このようなカウンセラーの態度に接すると、自分を見つめることができるようになります。

自己の行動を一層現実的に、また満足できるように統制できるようになるそうです。「成熟する」とも考えられます。

ロジャースが目指したこと

ロジャースは「完全にしかも十分に機能する人間」を心理療法の目標としました。しかし、これは究極の目標であり、達成することはとても難しいことです。ロジャース自身も「自分はその過程にいる人間である」と常に言っていたそうです。

十分に機能する人間とは?

  • 経験に対して開かれており、防衛性を表さない。
  • 全ての経験を意識する可能性がある
  • 象徴化は、現実的で、経験的で正確である。
  • 自己構造が経験と一致する。
  • 自己構造は流動的なゲシュタルトになり、新しい経験を同化する過程において柔軟に変化する
  • 自分自身を評価の主体として経験する。
  • 無条件の自己配慮を経験する。
  • いろいろな状況に出会っても、その時々の新しさに対する独自の創造的な順応をしていく。
  • 他人とも最大の調和を持った生活をすることができる

キーワード

  • 人間性心理学:ロジャースやマズローなど、自己実現をテーマとした心理学領域。
  • 現象的場:一般的には自己概念と呼ぶ。自分自身に関する情報の集まり。誕生から現在に至るまでのたくさんの個人の経験は減少的場として蓄積される。膨大な情報であり、他者が全てを知ることは困難。
  • 内的準拠枠:個人がもつ評価基準。経験は、個人の内的準拠枠で評価され、現象的場に蓄積される。
  • 自己構造:自己イメージとも呼ばれる。
  • 自己理論:理想自己と現実自己がどれくらい一致しているかから適応状態を考えるもの。

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