公認心理師試験頻出!いじめ防止対策推進法
いじめ防止対策推進法
- 2013年成立、施行
2011年に滋賀県大津市で、中学2年生がいじめを苦に自殺をしましたが、学校および教育委員会がいじめはなかったとして隠蔽・責任逃れをしようとしたことが契機となり成立しました。
全国の小中高校などで平成30年度に認知されたいじめが前年度から約13万件増加し、54万3933件と過去最多を更新したことが17日、文部科学省が実施した問題行動・不登校調査で分かった。とくに小学校で前年より3割以上も増加。心身に大きな被害を受けるなどの「重大事態」も602件で、過去最多となった。
産経新聞.2019年10月17日.https://www.sankei.com/life/news/191017/lif1910170041-n1.html
https://www.sankei.com/life/news/191017/lif1910170041-n1.htmlより
目的
児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見、いじめへの対処)の為の対策に関し、以下を目的とする。
- 基本理念を定め、国および地方公共団体等の責務を明らかにする
- いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定め、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進する
いじめは、いじめを受けた児童等に対し以下の恐れがあることを参考にする。
- 教育を受ける権利を著しく侵害する
- 心身の健全な成長および人格の形成に重大な影響を与える
- 生命または身体に重大な危険を生じさせる
定義
いじめとは?
児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
※過去に出題あり。
- 冷やかしやからかい
- 悪口や脅し文句
- 嫌なことを言われる
- 仲間はずれ,集団による無視をされる
- 軽くぶつかられたり,遊ぶふりをして叩かれたり,蹴られたりする
- ひどくぶつかられたり,叩かれたり,蹴られたりする
- 金品をたかられる
- 金品を隠されたり,盗まれたり,壊されたり,捨てられたりする
- 嫌なことや恥ずかしいこと,危険なことをされたり,させられたりする
- パソコンや携帯電話等で,誹謗中傷や嫌なことをされる 等
学校とは?
学校教育法第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く)をいう。
※注意:学校教育法で規定される学校は、「幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校」ですが、いじめ対策推進法では幼稚園と大学は含まれません。
児童等とは?
学校に在籍する児童又は生徒をいう。
保護者とは?
親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
何が書かれているか?
- いじめを防止するため、国や地方公共団体に対策を義務付ける。
- 保護者に対してもいじめを行わないよう子どもを教育指導するよう求める。
- 学校は、いじめを防止するための組織を置く。またその組織には教職員だけでなく、心理や福祉に関する専門的知識を有する関係者も加わる。
- インターネットを通じて行われるいじめに対しての対策は、インターネットを利用したいじめの防止・効果的対処ができるような啓発活動(発信された情報の高度の流通性、発信者の匿名性等)を行い、いじめが行われた場合は、いじめを受けた児童等または保護者は、そのいじめに係る情報の削除を求め、発信者情報の開示を請求しようとするときは必要に応じて法務局または地方法務局の協力を求めることができる。
- いじめの重大事態を定義付け、それが発生した際にはすみやかに事実関係を調査するよう学校設置者に対して義務付けている。
(いじめの禁止)第四条
児童等は、いじめを行ってはならない。
(国の責務)第五条
国は、第三条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)第六条
地方公共団体は、基本理念にのっとり、いじめの防止等のための対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(学校の設置者の責務)第七条
学校の設置者は、基本理念にのっとり、その設置する学校におけるいじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC1000000071
いじめの重大事態とは?
- いじめにより被害者の生命や心身、財産に重大な被害が生じた疑いがある場合
- いじめにより被害者が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある場合
<参考文献>
- いじめ防止対策推進法.電子政府の総合窓口E‐Gov.https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=425AC1000000071
- いじめの防止等のための基本的な方針.文部科学省.平成25年10月.https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/06/26/1400030_007.pdf
- 公認心理師必携テキスト.福島哲夫編集.株式会社学研メディカル秀潤社発行.2018年5月初版第4刷.