30年ぶりの改定!ICD−11とは?

ICDとは

疾病及び関連保健問題の国際統計分類」の略称。

世界保健機関(WHO)が作成・改訂をしている。

疾病・障害及び死因の統計を国際比較するために用いられる。統一コードを使用することで言語が異なる国でも比較が可能となっている。日本では、死亡診断書や医療保険の分類統計で使用されている。

ICD−11の公表

  • 2018年6月、世界保健機関(WHO)がICD−11(国際疾病分類)を公表。
  • ICD−10への改定(1990年)以来、約30年ぶりの改定。
  • 日本では2022年に発効予定

ICD−11の特徴

  • 改定内容には最新の医学的知見が反映。日本の専門家・団体も貢献。
  • より多様な病態を表現できるようコード体系が整備された
  • コード数は約14,000から約18,000に増加
  • ウェブサイトでの分類の提供など、様々なツールがWHOから提供
  • 伝統医学を新たに導入(まずは日中韓の伝統医学である漢方医学)

ICD−Ⅰ0との比較

下線部が新たに追加される章です。新たに4章追加されました。

新たに追加される章

  • 第4章 免疫系の疾患(免疫不全、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス等)
  • 第7章 睡眠・覚醒障害(不眠症、過眠症、睡眠関連呼吸障害等)
  • ・第17章 性保健健康関連の病態(性機能不全、性別付合)

 ※性別付合(トランスジェンダー)は、性同一障害とされていたが、障害という言葉を外し、精神疾患ではない分類になりました。「これによりスティグマが減り、ケアが向上するだろう」と下記にあります。今まで精神疾患とされていたのが不思議に思いますね。疾患ではなく、性別付合という状態であるだけです。個人的にも変更されて良かったと感じます。

  • 第26章 伝統医学の病態ーモジュールⅠ(五臓の基本概念や陰証、陽証の分類、外傷や障害への治療目的での医療行為として鍼に関する分類が可能になった)

その他の変更

  • 心的外傷後ストレス症(PTSD):説明文の診断学的用語を減らし、簡略化。診断に基づく分類を容易にしている。
  • 複雑性PTSD(C−PTSD):初めて診断基準として記載された。PTDSの3症状(過覚醒、回避、フラッシュバック)に加え、気分変動、自己の無価値感、他者との対人関係の障害の3症状が加えられている。PTSDとC−PTSDを分けることによって、それまでPTSDと一括りに診断されていたが、臨床像が異なる2つのパターンのケアがより効果的にできるようになることが期待される。
  • ゲーム症/ゲーム障害」を精神及び行動の障害中の「嗜癖行動症<障害>群」に追加した。
  • 虚血性脳卒中が「循環器系の疾患」から「神経系の疾患」に分類を変更した。

<参考文献>

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