公認心理師試験対策!認知症について(中核症状・BPSD・アルツハイマー型など4つの認知症)
中核症状と周辺症状(BPSD)
中核症状:認知症における認知機能障害は6領域で分類されている。
記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、実行機能障害、失語・失認識・失行
周辺症状:認知症に伴う行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:BPSD)は周辺症状と呼ばれる。不眠、幻覚、徘徊、異食などがある。
https://info.ninchisho.net/symptom/s10 より
MCI(軽度認知障害)
認知症とは診断できないが、認知症の前段階と考えられている。正常と認知症の中間とも言える状態。日常生活への影響はほとんどないことが多い。アルツハイマー型であることが多く、採血検査でスクリーニングができます。
特徴
- 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
- 本人または家族による物忘れの訴えがある。
- 全般的な認知機能は正常範囲である。
- 日常生活動作は自立している。
- 認知症ではない。
MCIを放置すると、認知機能の低下が続きます。回復率は14〜44%の一方、5年間で約40%の人は認知症へとステージが進行すると言われています。
https://info.ninchisho.net/mci/k40 より
四大認知症について
- アルツハイマー型
- レビー小体型
- 前頭側頭型
- 血管性
前3者は神経変性が主たる原因であり、血管性はほとんどが脳血管障害が原因の後遺症(例外もある)。
アルツハイマー型認知症
原因
ベータタンパク、タウタンパクと言う異常なタンパク質が脳に溜まって神経細胞が死んでしまい、脳が萎縮する。
海馬(記憶を司る)、側頭葉、頭頂葉が先に障害され、その後全般性に進行するため、記憶障害や見当識障害が初期から出現する。
症状
物忘れから始まり、年単位で緩やかに進行。新しく経験したことを記憶できず、すぐに忘れてしまう。(近時記憶障害だけでなくエピソード記憶障害もある。)記憶障害に対する自覚を欠くことが多い。(病態失認)
物盗られ妄想、徘徊、無気力、抑うつも出現する。
言語機能、感覚運動統合機能は後期まで維持される。
疫学
若年性認知症の25%を占める
レビー小体型認知症
原因
レビー小体(タンパク変性)が大脳皮質にできる。
症状
幻視、幻覚、妄想、パーキンソン症状、薬剤過敏性、自律神経症状など。調子の良い時と悪い時を繰り返しながら進行する。急速に進行することもある。
後頭葉機能障害があり、幻視と関係している。
疫学
男性の方が多い
前頭側頭型認知症(pick病)
pick球と呼ばれる脳の神経細胞の塊が前頭葉と側頭葉にできて発症する。前頭葉と側頭葉が萎縮する。
症状
前頭葉障害のため万引きなどの衝動制御障害や人格変化をきたす。万引き、盗難、暴力、痴漢行為、社会的ルールを無視することもある。前頭葉は、人がその人らしくいるために考えや行動・感情をコントロールする役割があります。
側頭葉障害が目立つ場合は言語機能に影響し、失語や言語理解力の顕著な低下が見られる。
疫学
40〜60代の若い世代で発症
血管性認知症
原因
脳の血管が詰まったり破れたり(脳梗塞、脳出血)して血管障害に関連して現れる。
例外として、高血圧に伴うことが多く白質変性を来すBinswanger病、微小皮質下出血を繰り返すアミロイドアンギオパチーは血管性ですが変性が主因となる。
症状
原因となる疾患や部位によって異なる。急に発症し、段階的に進行する。
麻痺などの運動障害。物忘れ、まだら認知症(症状が出たり消えたりする)記憶力の低下
疫学
若年制認知症の40%を占める
<参考文献>
- 軽度認知障害.Eヘルスネット.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-033.html
- 軽度認知障害(MCI)ってなに?.相談e-65.net.https://sodan.e-65.net/basic/mci/01.html
- 公認心理師現任者講習会テキスト[2019年版].一般財団法人日本心理研修センター.株式会社金剛出版発行.2019年2月15日2019年版第2刷.