公認心理師試験対策!向精神薬について(ADHDの治療薬編)
こんにちは。今日は向精神薬の一つ、精神刺激薬について書きたいと思います。
精神刺激薬は、中枢神経系の活動を増加させる薬物の総称です。ADHDとナルコレプシーの治療薬として知られています。
ここでは、現任者講習会テキストに載っていた薬剤3つ(コンサータ、ストラテラ、インチュニブ)を中心にまとめたいと思います。
まず、精神刺激薬は、中枢神経刺激薬と、非中枢神経刺激薬に分けられます。コンサータだけが中枢神経刺激薬で、残りの2つは非中枢神経刺激薬です。
中枢神経刺激薬は、覚醒剤も分類されている薬です。覚醒剤を想像していただくとイメージがしやすいと思いますが、依存や中毒が起きやすい薬と言えるでしょう。
2019年元東方神起のユチョンさんが麻薬の使用容疑で逮捕されたニュースは記憶に新しいと思います。使用が疑われた薬物はヒロポンで、中枢神経刺激薬の一つです。ヒロポンは、かつて第二次世界大戦中に夜戦の戦士や軍需工場で働く方に用いられたことをきっかけに日本国内に流行しました。そして中毒者が増え、1948年には劇薬に指定され、1951年には覚醒剤取締法が施行されました。その後、中毒者は減少していきましたが、このような乱用は世界保健機関にも報告され、のちに条約に繋がります。
2000年代になり、日本ではメチルフェニデート(リタリン)の乱処方が問題となり、2007年には厚生労働省が適応症を削除(ナルコレプシーにしか処方できなくなりました)し、乱処方を防ぐ措置をとりました。
このように、中枢神経刺激薬は乱用と法整備が繰り返されている歴史があります。
コンサータも、中枢神経刺激薬に分類されます。そのため、コンサータの処方は登録された医師・薬局しか処方できないなど慎重に管理されています。
令和元年12月1日からは、患者も登録されていないと処方が受けられない仕組みになるなど、より厳格な流通管理を行っています。
コンサータ®️(メチルフェニデート)
2007年に初めて18歳未満のADHDの治療薬として承認されました。また、成人期のADHDに対しては、ストラテラに続き2013年に承認されました。
- 薬理学的作用機序:ドーパミン再取り込み阻害
- 服用方法:12時間効果が持続します。学校や職場で効果を発揮させるため、朝内服することが多いです。朝飲み忘れて、遅い時間に内服すると、覚醒するため眠れなくなることがあるので注意が必要です。
- 長所:即効性に優れています。他の2つは効果が出るまで1〜8週間は飲み続る必要がありますが、コンサータは飲んですぐ効果を感じられます。
- 副作用:食欲低下、動悸、体重減少、不眠、依存のリスク
ストラテラ®️(アトモキセチン)
ADHDに対する日本で2番目に承認された薬です。成人のADHDには2012年に承認され、日本で初めて成人期のADHDに対し許可された薬です。
- 薬理学的作用機序:ノルアドレナリン再取り込み阻害
- 服用方法:1日2回服用。服用開始前に心電図異常の確認
- 長所:覚醒作用に乏しく、依存しない。コンサータと異なり、非中枢神経刺激薬であるため、依存を生じません。
- 短所:効果が出るまで2〜8週間の内服が必要。※3つの中で、一番即効性は低いと考えられます。
- 副作用:悪心、食欲低下、頭痛、眠気
インチュニブ(グアンファシン)
2017年に18歳未満のADHD治療薬として、また2019年には、成人期のADHD治療薬としても承認されました。
- 薬理学的作用機序:α2Aアドレナリン受容体刺激薬(元々は血圧の薬でした)
この薬剤はもともとは血管収縮を抑える降圧薬(1984年承認の中枢性交感神経抑制薬「エスタリック錠」)として開発されたもので、交感神経の過剰な興奮を抑えることによって多動性や衝動性を押さえることでADHDにも効果を発揮することがわかってきたものです。
http://riomh.umin.jp/intuniv.htmlより
- 服用方法:1日1回
- 長所:依存性がない
- 短所:効果が出るまで1〜2週間の内服が必要。※ストラテラより効果が早く出現します。しかしコンサータほどの即効性はありません。
- 副作用:傾眠、頭痛、低血圧・徐脈(血圧を下げる薬だったので)
薬理学的な作用機序は異なりますが、それぞれの特徴を押さえると副作用も覚えやすくなりますね。他の向精神薬は副作用として体重増加が挙げられることが多いですが、精神刺激薬は食欲低下・体重減少と真逆なのもポイントだと感じました。また、非中枢神経刺激薬の2つとは異なり、中枢神経刺激薬のコンサータは依存性があるのも特徴でしたね。インチュニブの血圧への作用も覚えておきたいと感じました。
それでは、ADHDの治療薬として覚えたい3種類でした。今日もありがとうございました。