公認心理師試験対策!パーソナリティー障害(代名詞的 B群編)

こんにちは。今日はパーソナリティ障害の代名詞的なB群についてまとめました。この群は、神経症と精神病のちょうど境目に位置するタイプです。そして、B群はそれぞれ似ているところも多く、状況によってはタイプをいったりきたりするそうです。それでは、今日も頑張りましょう。

  • 反社会性パーソナリティ障害:「他人の権利を無視する。そして侵害する様式」
  • 演技性パーソナリティ障害:「過度な情動性を示し、人の注意を引こうとする様式」
  • 自己愛性パーソナリティ障害:「誇大性や賞賛されたいという欲求、共感の欠如を示す様式」
  • 境界性パーソナリティ障害:「対人関係、自己像、及び感情の不安定と、著しい衝動性を示す様式」

反社会パーソナリティ障害

 人を信じられず、平気で他人を害することができるタイプ。妄想性パーソナリティ障害も人を信じられなくなるが、妄想性の場合は信じられないが信じたいといった葛藤がありますが、反社会性にはその葛藤がありません。相手から裏切られても傷つくことがないように、最初から人を信じません。相手が誰であれ、金や権力のために平気で人を利用します。平然とそうできる自分に強さを感じるそうです。

社会的な規範や通念を警視したり無視したりします。タブーの概念が育っていないか壊れているそうです。

このパーソナリティ障害になる背景には、悲しい生い立ちがあります。否定されてきた人生のため、強い復讐心があり、それを社会に投影しています。復讐のため、裏切り・搾取・破壊を重ねます。またその根底には強い人間不信があります。特に、父親の愛情と承認が得られず、父親に失望し、健全な超自我の形成に失敗したケースが多く見られます。

以下がDSM‐5の診断基準です。

反社会性パーソナリティ障害の診断を下すには,以下の3つ以上に当てはまる必要があります。

・逮捕の対象となる行為を反復的に行うことにより示される法律の軽視

・反復的な嘘,偽名の使用,または個人的利益もしくは快楽のために他者を言いくるめることにより示される欺瞞的態度

・衝動的に行動したり,事前に計画を立てなかったりする

・絶えず身体的喧嘩を始めたり,他者を攻撃したりすることにより示される怒りやすさまたは攻撃性

・自分または他者の安全性の向こう見ずな軽視

・別の仕事のあてもなく仕事を辞めたり,請求書の支払いをしなかったりすることにより示される一貫した無責任な行動

・他者を傷つけたり虐待したりすることに対する無関心またはそのような行為の合理化により示される後悔の念の欠如

・また,患者は素行症が15歳以降みられるという証拠を有している必要がある。反社会性パーソナリティ障害は18歳以上の人でのみ診断される。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/08-精神障害/パーソナリティ障害/反社会性パーソナリティ障害%EF%BC%88aspd%EF%BC%89

演技性パーソナリティ障害

 周囲の人を魅了し、注意をひきつけることを何よりも重要としている、他人を魅了しなければ自分が無価値になると思い込んでいるタイプです。人が羨むような優雅な生活をしている人から、貧しい人、哀れな人まで、他人の関心を引くためなら、自分をとがめることや傷つけるようなことも平気で演じてしまうのが特徴です。

そのため、パーソナリティ障害の中でも衝動性が高いと言われており、自殺、薬物乱用、犯罪などを衝動的にしてしまうことがあります。このタイプは虚言も特徴です。

とても愛情に飢えており、いくら演技で注目を浴びても、満たされることがないため、うつ病を発症し易いとも言われています。

演技的、虚言、衝動性が高いと聞くと、不安定な像をイメージすると思いますが、この特性を良い意味で活かして活躍された方もいます。チャールズ・チャップリンです。彼は、世界三大喜劇王とも呼ばれるコメディアンです。彼は、1歳で両親が離婚し、母親に育てられました。母は舞台に立つことを生業にしていたようですが、体調を崩し、苦肉の策で5歳のチャップリンが代わりに舞台に立ったそうです。しかし、母はその後舞台に立つことはできず、貧困生活を余儀なくされます。そして、母は精神を病んでしまうのです。家族を支えるために、苦労しながら様々な仕事をして生計を立て、演劇の道に進んでいきました。

業界随一の完璧主義者と言われるまでも作品を作りこみ、演劇に情熱を注いだのは、彼の悲しい生い立ちが影響していると思われます。人々を演技で驚かせることで、生計を立てる。まさに演技性パーソナリティ障害の性質を活かした生き方だったと言えるでしょう。

自己愛性パーソナリティ障害

自分は人より優れていると信じ、自分を誇張し、劣っている人には高慢な態度をとるタイプです。

自己愛と聞くと、自分自身が大好きな人とイメージされると思いますが、このパーソナリティの方は逆です。自分に自信がなく、ありのままの自分を認められません。偉大で特別な自分でいなければと思い込んでいるので、強すぎる自己への陶酔や執着が必要になります。

症状

  • 自分は人より優れていると信じている。
  • 業績や才能を誇張する劣っていると感じた人に高慢な態度をとる。
  • 非難に弱く、すべてを否定されるように感じる。
  • 非を受け入れない。
  • 他人は自分の利益のために利用するものでしかない。

一見、自分に自信があり、他人を見下しているように見えますが、根底には「自分は人に根本的に受け入れられない欠陥がある」と脆くて壊れやすい自尊心があります。不完全性を認識することは耐えがたいため、他者からの認識や視点を強力にコントロールしようとします。強迫観念強迫行為も自己愛性パーソナリティ障害の特徴で、完璧な自分でいるために、すべてをコントロールすることが可能だと言う認識があります。この強迫症状は、ありのままの自分を認めないための自己防衛とも言えるでしょう。このタイプの強迫症状としては、美容整形を繰り返す。極端な食事制限や過食嘔吐による体重コントロール、筋力増強などがあります。

また、ひきこもりにも多いタイプとも言われています。以下に図で示しますが、自己愛性パーソナリティ障害の引きこもりは、完璧な自分を維持するための引きこもりなのです。引きこもることができなければ、現実の社会生活で、他者との関係の中で理想の自分で過ごすことはできませんから、理想の自己像と現実の自分にギャップが大きくなり抑うつになるケースもあります。

また、他人は自分の利益のために利用するためと認識しているので、共感性がないと言われています。

境界性パーソナリティ障害

パーソナリティ障害の代名詞的なタイプです。このタイプは、「抑うつ(見捨てられ不安)、衝動性、感情調節の不安定、精神病症状」がキーワードです。

症状

  • 衝動的行動(自殺企図、アルコール、ギャンブル、薬物、性的放縦、摂食障害等)
  • 二極思考
  • 慢性的な空虚感
  • 自己同一性障害
  • 自傷行為などの自己破壊行為

激しい怒り、空しさや寂しさ、見捨てられ感や自己否定感など感情がめまぐるしく変化し、そして混在しています。感情の調整が困難で、不安や葛藤など、自分の感情に気付けず、自分の中で処理することを苦手としています。抑うつ症状が特徴的ですが、うつ病とは異なり見捨てられ不安に由来しています。対人関係も見捨てられ不安に大きく影響されており、不安定になりがちです。

対人関係の3パターン

  1. 見捨てられる不安におしつぶされ、「相手に愛される価値のない自分」に対して自己破壊的行動をする。
  2. 見捨てられ不安から、相手にしがみつく。1日何十回も電話したりする。
  3. 見捨てられ不安から、相手にひどい目に合わされても耐えてしまい、心身に大きなストレスを蓄積させる。

原因はいまだに明らかになっていませんが、生物学的要因(遺伝、アドレナリン・セロトニンの異常、前頭前野機能の低さ、扁桃体の過敏性)幼少期の体験(虐待、過干渉、機能不全家族の養育)が原因として考えられると言われているそうです。

扁桃体は脳の辺縁系の一つですが、感情に関係する部位です。一説によると、パーソナリティ障害の方は扁桃体が過敏で、不安や恐怖を感じやすいそうですが、自傷行為をすることで扁桃体の興奮が抑制されることがわかって来たそうです。やめたくてもやめられないと聞くことが多かった自傷行為ですが、もしかしたら自己治癒の一つなのかも知れません。

キーワードの精神病症状ですが、解離、離人感があげられます。

解離とは、自分が自分であるという感覚が失われている状態で、ある出来事をすっかり忘れてしまったりします。離人感とは、身体や精神が自分から切り離されたような感覚になることです。

治療は、以下の方法があげられておりエビデンスがあると言われているものが上の2つです。

  • メンタライゼーションに基づく治療(MBT)
  • 弁証法的行動療法(DBT)
  • 力動的精神療法
  • CBT
  • 認知分析療法
  • 家族療法
  • 対人関係療法(IPT)
  • 集団精神療法(グループセラピー、サイコドラマなど)

以上、パーソナリティ障害B群のまとめでした。

少し練習問題を作ったので、確認も兼ねてよかったら解いてみて下さいね。

練習問題

問1 妄想性パーソナリティ障害の特徴について、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 対人関係、自己像及び感情の不安定と著しい衝動性を示す。
  2. 他人の動機を悪意あるものとして解釈する。
  3. 過度な情動性を示し、人の注意を引こうとする。
  4. 誇大性や賞賛されたいという欲求、共感の欠如を示す。
  5. 他人の権利を無視し、侵害する。

問2 パーソナリティ障害の概念として、誤っているものを1つ選べ。

  1. 認知、感情、対人関係機能、衝動制御の領域の異常が、状況に左右されずに生じる。
  2. 薬や器質的疾患の影響で生じているものも含まれる。
  3. 長期間にわたって一貫している。
  4. その人が属する文化におけるパーソナリティの著しい偏りによって障害をきたしている。

問3 境界性パーソナリティ障害の症状として誤っているものを1つ選べ。

  1. 自殺企図
  2. 過食
  3. 物質乱用
  4. 不安定な対人関係
  5. 感情表出の限定

答え

問1:2 問2:2 問3:5

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