公認心理師試験対策!摂食障害について

今日は過去に出題のあった摂食障害について書きたいと思います。まずは、試験問題から見ていきます。

第1回試験 

問101:神経性無食欲症について、正しいものを1つ選べ 

  • 経過中の死亡はまれである。
  • 通常、心理療法によって十分な治療効果が得られる。
  • 入院治療では、心理療法は可能な限り早期に開始する。
  • 経管栄養で体重を増やせば、その後も維持されることが多い。
  • 患者自身は体重低下に困っていないため、治療関係を築くことが難しい。

答えは⑤です。

「神経性食欲不振症」これは、拒食用とも摂食障害とも呼ばれます。また難病指定されており、まだ明らかになっていないことが多い病気です。

摂食障害とは、拒食と過食に分けられますが、どちらも根っこは同じと言われています。依存症(アディクション)とも、不適切なコーピングとも言われており、境界線パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、強迫性障害なども抱えていることが多いようです。

まず解答①についてですが、摂食障害はかなり死亡率の高い病気です。

ブログを読んでくださっている方の中にも、摂食障害を抱えている方が身近にいらっしゃっる方もいるのではないでしょうか?芸能人で言うと、釈由美子さんやフィギアスケーターの鈴木朋子さん、宮沢りえさんが摂食障害を公表していますね。意外と身近な病気です。私も、精神科で働いていた時に、入院している患者さんと関わらせてもらったこともありますし、学生時代に同級生にもいました。治癒してママになった子もいますが、学生時代に亡くなった子もいます。若くして亡くなる人が身近にいたこと、心の葛藤がすごく大きそうだったこと、生きたいのに生きづらい、なぜかうまくいかない子たちと関わったことがずっと心の中に残っていて、精神科配属でなくなってからも自己流ですが勉強しています。

摂食障害の死亡率は精神疾患の中でダントツだと言われています。死亡率6〜20%と言われています。

感染症の死亡率と比べると、イメージしやすいかもしれません。

SARS:10%、MARS:34%、インフルエンザ:0.1%

摂食障害になると、1〜2割は命を落とす可能性があると考えると、とても怖い病気です。

死因としてあげられているのは、

低栄養における衰弱死、電解質異常における突然死、感染症、自殺

この時代に衰弱死があるんです。また、低栄養や下剤乱用、嘔吐によって電解質バランスも崩れるので、突然死のリスクもあります。自殺も多いです。

若くして亡くなる人を見るのは、とても辛かったです。

拒食症の方は、見た目に反してエネルギッシュに活動している場合も多いのですが、体は衰弱しており、突然お別れが来る場合もあります。

看護師をしていた時に知り合った、忘れられない子がいます。ものすごい食へのこだわりとボディーイメージの障害があり、拒食、過食、嘔吐…親御さんとの関係にも苦しんでいました。長期で入院していましたが、高校を卒業するころ、少しずつ食事を取れるようになってきたようで、大学や専門学校の見学に行ったりしていたそうです。将来に前向きになってきた頃、彼女は突然亡くなってしまったのです。心臓が突然止まってしまったのです。生きる希望があったのに。…彼女は、明るい未来を信じていたと思います。

この病気は、特に拒食症の時は、本人に病識がないことが多いです。痩せたい気持ちが強いので、病気と思いたくない気持ちがあるそうです。周りの誰かが気づいて、適切な治療につなげることが重要です。

次に、病態や統計について見ていきましょう。下の図は、神経性食欲不振症(拒食症)、神経性過食症(過食症)、特定不能の摂食障害(むちゃ食いなど)の人数についてです。

  • 摂食障害全体は1980年からの20年間に約10倍の増加がみられ、とくに1990年代後半の5年間だけで、ANは4倍、BNは4.7倍と急増している。医療機関をすすんで訪れるのは一部であるため、実際はもっと多いと推定される。
  • 同時に行った病型についての調査では、ANが47.0%、BNが39.7%、EDNOSが12.3%であり、それ以前に比べて過食型の摂食障害の増加が特徴的である。
  • 年齢層でみると、ANは10代、BNは20代が多く、推定発症年齢をみると10代の占める割合が年々増加し、若年発症の傾向を示している。すでに10歳から発症する例もまれではなくなった。
  • 男女比は1対20であった。一般に90%以上が女性と報告されている。

みんなのメンタルヘルス.厚生労働省 より引用https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_eat.html

DSM‐5では、以下のような基準になっています。

  • 必要量と比べてカロリー摂取を制限し、年齢、性別、成長曲線、身体的健康状態に対する有意に低い体重に至る。
  • 有意に低い体重であるにも関わらず、体重増加または肥満になることに対する強い恐怖、または体重増加を妨げる維持した行動がある。
  • 自分の体重または体型の体験の仕方における障害、自己評価に対する体重や体型の不相応な影響、または現在の低体重の深刻さに対する認識の持続的欠如。

摂食障害を発症する原因

原因は遺伝や職業などの社会的背景、性格や生育歴、虐待など多岐に渡っています。

摂食障害を抱える方全体に言えることは、自尊心の低さです。自己評価がとても低い方がなりやすいと言われています。

摂食障害の中でも、拒食症は強迫的なパーソナリティー傾向や完璧主義、過食症は抑うつや不安が発症に関連していると言われています。

一方で、性格的な要因もありますが、身体的な要因もあると言われています。

1950年代にアメリカのミネソタ州で行われた「半飢餓研究」と言うものがあります。これは、健康な方の体重を食事制限によって25%程減少させる研究だったそうですが、その結果、健康だった方でも抑うつ、不安、怒りやすさ、自己評価の低下、強迫性の増強などが見られたそうです。摂食障害と似ていますね。

こういった要因が複雑に絡み合って発症すると言われています。

治療

拒食症で体重減少が激しい場合、まずは身体管理が優先です。体が衰弱しているため、生命維持の危険がある場合があるためです。著しい体重減少がある場合、急に栄養補給をすると電解質のバランスが崩れ、命の危険にさらされることがあります。リフィーディング症候群と言いますが、これを防ぐために栄養補給を慎重に行う必要があります。そのため、入院して専門医に診てもらう必要があります。

そして、生命の危機を脱したら、認知行動療法や対人関係療法等の心理療法が始まります。

また、薬物療法を併用する場合もありますが、特効薬はありません。拒食症の肥満恐怖に対して抗精神病薬を使用したり、過食症の不安に対して抗不安薬を使用することはありますが、対症療法に過ぎません。

過去問のまとめ

①は死亡率が高い病気であること②は心理療法のみならず、身体管理や薬物治療等、様々な治療が必要であり、治療には長期を要するため、心理療法によって十分な治療効果が得られるとは断言しにくいこと③は、入院早期は心理療法が適する状態でない場合もあること(極端な体重減少等)④は一時的に体重を増やしても、体重減少のためにかなりの努力をする患者さんが多いため、維持されるとは言えないこと、⑤は文章通りで、患者さんは体重を減らしたい気持ちが強いため、治療者の意見と真逆であり、ぶつかることは多々あります。以上の点で、⑤が適していると考えられます。

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