公認心理師試験頻出! 抗精神病薬の副作用について
こんにちは。今日は、公認心理師試験にほぼ毎回と言ってもいいほど出ている、抗精神病薬の副作用についてまとめます。
過去問では、2018年12月試験の問103、第2回試験の問70、問116に出題されています。
- 錐体外路症状を選択肢の中から選ぶもの
- 悪性症候群の症状を知っているか問うもの
- 抗精神病薬の副作用と、ベンゾジアゼピン系の薬の副作用が区別できているか問うもの
でした。これらは、抗精神病薬を学ぶ上で欠かせないものであり、出題しやすい内容だと思います。京都コムニタスさんの過去問の解説でも正答率の高い問題でした。
看護師国家試験にも出る、王道の抗精神病薬の副作用です。おそらく今後も出題されるのではないかと考えられます。
抗精神病薬のポイント
これを覚えれば、正答率の高い問題は解けるはず。。。と考えています。もう少し、詳細な説明にお付き合いいただける方はぜひ続けてお読みください。脳神経やホルモンの名前が出てきます。
ドーパミンは、気持ちを緊張させたり興奮させる神経伝達物質で、統合失調症と深い関わりがあり、症状と副作用を理解する上で重要です。統合失調症では、中脳辺縁系でこの「ドーパミン」の過剰になっています。
また脳内には、神経伝達物質を伝達する様々なルートがあります。抗精神病薬の副作用を語る上で重要になるのが、「中脳皮質系、黒質線条体系(錐体外路)、漏斗下垂体系」のルートです。次の図は、そのルートと副作用の関係を示しています。
中脳辺縁系、中脳皮質系、黒質線条体系(錐体外路)、漏斗下垂体系の関係をイメージできたでしょうか?
次に、統合失調症ではそれぞれの部位はどうなっているかをまとめます。[ ]にその働きを示します。
中脳辺縁系[感覚・感情・記憶に関係]
★統合失調症では、ここでドーパミンが過剰になると、幻覚や妄想などの陽性症状が引き起こされる。
中脳皮質系[認知機能に関係]
★統合失調症では、ここでドーパミンの機能が低下し、意欲減退、感情鈍麻などの陰性症状が引き起こされる。
錐体外路[大脳基底核から大脳皮質の神経ルート。姿勢・運動に関する基本的かつ無意識的な運動をコントロールし、運動を円滑に行うように筋肉を調整している]
漏斗下垂体系[プロラクチンというホルモン調整に関与]
統合失調症では、中脳辺縁系でドーパミンの過剰が生じ、中脳皮質系ではドーパミンの機能が低下した状態になり、陽性症状や陰性症状が起こります。
そして、抗精神病薬は、簡単に言うと脳内のドーパミンが過剰に働きすぎないようにする薬です。狙うは中脳辺縁系で過剰になっているドーパミンの働きを抑えることです=陽性症状を抑える。
しかし、中脳辺縁系だけでなく、他の経路でもドーパミンの働きを抑えてしまうと副作用が起きます。
錐体外路症状について
試験に出やすい、錐体外路症状の各名称と症状も繋げて覚えましょう。
症状名 | 症状 |
アキネジア、パーキンソン症様症状 | 筋緊張が亢進して筋肉が滑らかに動かない。振戦・小刻み歩行・すり足歩行 |
ジストニア | 筋緊張が異常になり、強直、捻転が生じる。首が曲がる(斜頸)、舌が出る(口舌ジストニア)歩く時に身体が後ろに曲がってしまう(軸性ジストニア) |
アカシジア | 手や足に不快感が生じ、歩き回り、じっと座っていられない(静座不能) |
遅発性ジスキネジア | 数ヶ月から数年内服した後に急に発現する。絶えず口をもぐもぐする、舌を出したり戻したりする。 |
以上、ドーパミンと抗精神病薬、脳の神経伝達経路と副作用の関係についてでした。過去に出題された、悪性症候群も一緒に覚えましょう。